佐奈川探検記：アジサイとカタツムリ

佐奈川探検家Tの手記

雨の合間を縫って、佐奈川を歩いてみた。空はどんよりとしていたが、湿った空気の中にもどこか落ち着いた静けさが漂っている。

そんな空気に包まれながら川沿いを歩いていると、ふと目に入ったのは、色づき始めたアジサイの花だった。

まだ咲き始めではあるものの、淡い青や紫の色がにじむように広がっていて、これからやってくる梅雨の気配を感じさせる。

雨の季節が近いことを、植物たちは誰よりも早く知っているのかもしれない。

そんなアジサイの葉の上に、小さなカタツムリを見つけた。つややかな殻を背負い、じっと葉の上でたたずむその姿は、まるで雨を待っているかのようだった。

佐奈川の季節は確実に進んでいる。晴れの日の輝きもいいけれど、こうした静かな時間の中にある風景もまた、味わい深い。

アジサイとカタツムリが教えてくれた、佐奈川のしっとりとした初夏のひとこまである。